引退するときの花道 

梅の花

 梅農家さんの剪定作業を手伝い、切り落とした枝をもらって花瓶に差しておいたら、白い花が少しずつ咲き始めました。
「梅一輪 一輪ほどの暖かさ」(服部嵐雪)と言う割には、今年はまだまだ寒さが続いています。
"寒梅" というのは立春前に開花した梅だそうですが、それと同じような感じです。
一本の枝に花がポツポツと咲いて並んでいくさまは、さながら "花の道" のようでもあります。


 オリンピック選手に限らず、引退のタイミングをはかり、花道を用意することは簡単ではないと思います。
そんな中、スノーボード・ハーフパイプのショーン・ホワイト選手(米国)の花道は見事でした。
2000年代初めから約20年間もトップの座に君臨し、オリンピックで金メダル3回を獲得したレジェンドですが、北京オリンピックの競技の数日前にこれで引退することを表明していました。
今回は平野歩夢選手が前人未到のトリプルコーク1440(縦3回転・横4回転)を演技3回とも行って成功させ、実力でトップの座をもぎとりました。
平昌では平野を抑えて金メダルを獲得し、年令も31才とまだまだいける状態でしたが、あれから4年経って年齢的にも35才ですので、4年後はさすがに厳しいでしょう。世代交代の潮時だったのは確かです。

 素晴らしいのは、それでも4位に入賞してトップクラスの実力を見せたことです。
いろんな競技のトップ選手は得てして、成績のピークを過ぎても世間が引き続き期待を寄せ、簡単に辞めさせてくれないという側面があると思います。
そしてボロボロになって、ある意味「世間が諦めてくれる」のを待ってから引退するというケースも多々あります。
ショーン・ホワイト選手はそうならず、自ら花道を作って祝福されながら引退を遂げました。これは本当に素晴らしいです。


 羽生結弦選手は?今のところ引退表明はしていません。
4年間挑み続けた4回転アクセルがギリギリのところまでは来ましたが、「これが精一杯」という感じを漂わせて引退を暗示しているようでもあります。
それとも、8年越しで次回オリンピックでの完成という壮大なドラマを描いているのでしょうか。
年齢は27才。どちらもあり得ますね。
仮に今回で引退するとしても、前人未到にチャレンジした結果の4位であり、しかもSPで穴に引っかからなければメダルを獲得していたことも考えると、立派な花道を作ったと思います。


 去り際の美しさは、スポーツだけでなくいろいろな分野で必要なことだと思います。ましてや、見苦しく地位にしがみつくのは最悪です。
ボロボロになるまで続けるのではなく、周囲も納得できるような世代交代を綺麗に果たす。自ら花道を用意し、余力を持って引退する。
そんな風に引退するのはなかなか難しいことですが、それができたら素晴らしいですね。

 

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