「自分史を書く」のと「自分史ムービーを作る」のはどう違うか

「自分史を書こうかな」とお考えですか?
自分史の書き方については、立花隆さんや齋藤孝さんなど一流の執筆者が細かく指南している本がありますね。それらに示されていることを参考にして書けば、良い自分史ができあがると思います。
自分で書こうと思う方は、もともと書くことがお好きなのでしょうね。そうでなければ手間を考えただけであきらめると思うのです。好きな方はご自宅やカフェなどでゆっくり時間をかけてこれまでの人生を振り返り、いろいろあった出来事を思い出して、楽しみながら書いていくのでしょう。書くこと自体が極上の時間なのだろうと思います。立花さんの本に書いてあったのですが、あえていつまでも完成させない方もおられるようです。完成してしまうと書く楽しみが終わってしまうからでしょうか。
自分史を文字で記録することの良さは、文字数をたくさん使って事の顛末などを微に入り細に入り記録できるところかと思います。良い意味で詳しすぎるくらいに説明することもできます。また、盛り込みたいと思った話題は、印刷費などによるページ数・文字数の制約がなければ断念することなく全て入れられます。そして他人ではなく自分が書けば、最も納得できる表現を選ぶこともできますし原稿作成が無料で済みます。
このように多くのメリットがありますが、逆にデメリットはあるでしょうか。
出来上がった自分史のページ数が多いと、読む側としては大変になりますね。印刷・製本してもらう場合にまとまった冊数の注文が必要な業者だと、料金が高額になるとともに本が大量に余るかも知れません。自分ではやはりうまく書けないと思って業者に代筆を依頼すると料金がかかりますし、書く材料を代筆者に提供するのも相当な労力が必要です。そして、本文に写真を入れたとしても「文字と写真ではどうしても伝えられないもの」があります。
その点を自分史ムービー(映像)と比較して考えてみると、映像で記録することの良さは、お姿をまるごと記録することができる点です。話し方、笑い方、声の高低や質感、所作、ちょっとした癖など「その方らしさ」がそのまま保存できます。例え無言のシーンでも、前後の映像との関係によって、その瞬間の思いや感情を伝えることも可能です。これらは文字や写真ではできないことです。話題に関係する情景の描写も映像のほうが圧倒的に情報量が多く、一目瞭然で正確に伝わります。また、一般的に人は「読む」よりも「見る」ほうが楽です。
一方で映像のデメリットは、入れられる話題の数が無制限でなく一定範囲に限られるという点です。もちろん膨大な時間で撮影すれば際限なく入れられますが、長時間見るのは苦痛ですので、映像の上映時間数を一定の範囲に収める必要があります。そして、スマホ搭載カメラの性能が上がったとはいえ、自分自身で(自撮りで)撮影するのはなかなか簡単にはいきません。アングルが固定されて退屈な映像になりがちですし、人ではなく無人のカメラを相手に話すとぎこちないお姿になりやすいからです。ですので他者に撮影してもらい、編集も技量がある人が行う必要があります。それを業者に頼むと料金がかかりますので、本を印刷・製本する費用との比較になるのかも知れません。
これらのことから、自分史を書くという方法は、書くこと自体がお好きな方で、書く話題をたくさん持っておられ、それらをできるだけ多く、より詳しく入れたい場合に、メリットが大きいと思います。書いている時間そのものも有意義な活動になりますね。
なお、書くという方法をとりながら内容を少し簡素化したい場合は、製本済みのエンディングノートや書籍の体裁で作られた自分史年表を使って書くという選択肢もありますね。
これに対して自分史ムービーを作るという方法は、大事な話題に絞って盛り込めれば良いという方で、その方らしいお姿をありのまま記録したいとき、内容を伝えられる側の方に分かりやすく伝えたいとかご負担を減らしたい場合に、メリットが大きいです。
当舎は自然なお姿を引き出して撮影するように心がけております。例えば言い間違えて(かんで)しまって言い直すときの表情やしぐさ、話しながらついつい上のほうを向いて言葉を考えるという癖など、その方らしい所作や癖があったときに、お話が分かりにくかったり見苦しくなければあえてそのお姿を編集で使うこともあります。もし完璧なビデオ撮影をしようと思うなら、それらはNG・撮り直しとなるかも知れませんが、きれいに整えられた部分ばかりだとまるで鎧を着ているみたいで、「その方らしさ」が十分に表れてきません。ですので、貴重な「その方らしさ」、自然なお姿がよく表れているかどうかという観点も大事に考えて制作しております。
自分史ムービーという選択もぜひご検討下さい。
当舎は自分史ビデオと自分史ムービー・自分史動画、終活ビデオと終活ムービー・終活動画を同じ意味で考えております。