ドキュメント72時間「国道4号線 ドライブインは眠らない」は神回。自分史動画と同じ視点の印象的なシーンが満載 

ドキュメント72時間「国道4号線 ドライブインは眠らない」

(ネタバレ多数。番組を見た後でお読みいただくことをお勧めします)

 自分史動画や終活で作成する動画を制作している者としては、この番組は普通の人が登場するドキュメンタリーという点で好きな番組です。
人生の生きざま、親子の絆、人の人情などがよく出ている回の作品が特に印象に残ります。

 今回の取材場所はドライブイン。
珍しいロケ地ではないので、放送してどれくらい人気を集めたのか分かりません。

 それでも、この回は印象に残るインタビューシーンがたくさんありました。
その点で、私個人はこの作品を神回のひとつにあげたいと思います。

 印象に残ったシーンの概略とコメントを、登場順に書いてみます。

 最初に登場するのは、人気メニューのもつ煮込み定食(壁のメニューは『煮込ホルモン定食』)を食べる70才のお客さん。
「つかみ」のシーンです。
煮込みを箸でつついているアップの映像は、味噌󠄀の煮汁の色がちょっと濃い目でうまそうです。
高校生の頃から50年以上もここで食べているとのこと。

 この店がお客さんの人生の大半とともに歩んできたことが分かります。
「おかわり自由なんだよね」「結構ここ評判いいんですよ」という言葉から、料理がおいしいだけでなく良心的で、地元の方から愛されていることが伝わってきます。
冒頭のこのシーンで、どんなお店なのかがよく分かります。

 チャーハンをおいしそうに食べる、39才・シンガーソングライターの男性。
18才のときに交通事故で左腕が不自由になったといいます。
そのことで心がどん底でも、お腹が空くのは生きているからだ、という『お腹が空く歌』。
歌う様子をスマホの録画で見せてくれますが、途中から音声がクリアな収録曲に切り替わり、編集でBGMとして使われています。

 いい歌で、さらにこの編集は感動的です。
曲がBGMでダイレクトに使われると、マイクに話す音声と一緒で、この方が直接伝えるメッセージに聞こえます。
話にも曲にも心を打たれました。この方の生きざまが伝わってきます。

 夜明け前に仕事を終えて、もつ煮込みを容器持参でテイクアウトしに来た常連の男性。
店員さんが「(家に帰って)すぐ食べんのかい?」「じゃあ 熱くしないと」というさりげない気遣いと、「超大盛よ」と言って容器からあふれそうなほど入れてくれる優しさ。

 夜通し働いて疲れた体と心には、この煮込みとお店の方の気持ちは沁みるように暖かいのだろうと思います。

 マーボー定食を食べる22才・ペットショップ店員の男性。
小1で両親が離婚してから母親に会っておらず、その寂しさを猫が癒してくれたことが今の仕事につながっていると言います。
「大きくなったら会おうね」と言われたことをずっと忘れず、心の拠り所にしてきたようです。
いずれ起業して大きな存在になり、母親が気づいて会うことができたら、と考えているそうです。

 終始明るい笑顔で話してくれる姿に、かえってこの方が抱き続けてきた辛い気持ちと、これまでの生き方、生きざまを感じます。
母親はこの番組を見ていないだろうか、と思ってしまいました。
いつか再会できることを願うばかりです。

 小学生くらいの子ども3人を連れてきた両親。
お父さんの父親はトラック運転手で、小さい頃からこの店によく連れてきてもらったそうです。
がむしゃらに働いて、家族を支えてくれた父親。
くも膜下出血のためトラックの運転席で亡くなったとのこと。
自分も親になり、子どもがおいしそうに食べている姿を見るのはうれしい。
当時の父親もいまの自分と同じだったんだろうと、思いを馳せます。

 子どもには多すぎるくらいの食事がテーブルに並んでいる映像から、お父さんの子どもに対する思いが伝わってきます。
「父親が残してくれた大切な何か。それは次の代へつながっていく―」というナレーションがなかったとしても、親の気持ちは子どもを持つ人には分かるのではないでしょうか。

 82才の店のおかみが登場します。
今よりもずっと客が多かった過去。寝ないで働いていたと言います。
建物の老朽化もあって閉店も考えてはいるけれども、今はまだ続けていきたいと。

 旅行すると、沿道でドライブインや飲食店の跡をよく見かけます。
そういうお店もかつてはお客さんで賑わい、いろんな人のいろんな思いが去来していたはずですが、廃墟になった後、それらは頭の中で想像するほかありません。
しかし、このお店は番組のおかげで貴重な映像記録を残すことができました。
人の人生もお店の歩みも、映像で残しておくことは大切だと思います。

 22才・自衛官の息子さんが帰省で帰ってきて、今日は給料で両親にごちそうするために3人で来たとのこと。
訓練が厳しいこともあり、ややホームシック気味だと話します。
お父さんは「今日は特別おいしかった」と満足そうに言い、お母さんは「大人になったなあって」と微笑みます。

 息子が帰省してきた喜び、給料でごちそうしてくれたうれしさとともに、そこにはおそらく、独り立ちした息子を心配する気持ちも混じっているのではないかと想像します。
親の思いを、この息子さんもいつかは親となって同じように抱くでしょうか。
「あの時の親もこんな気持ちだったのだろうか」と思う立場になってほしいと願いました。

 最後のほうで出てきたのは、母親と娘さんの二人連れ。
取材の申し入れに対して「色々話したいことはあるんですけど、ちょっと・・・」と言って断ります。
食べ終わって一旦外に出てから、50代のお母さんが戻ってきます。
顔出しNGで語り出したのは、20年くらい前に生活が苦しく、1人分だけ注文して分け合って食べていたという話でした。
すると店員さんが取り分け用の器とごはんにみそ汁まで持ってきてくれて、本当に助かったとのこと。
「(お店の人は何も言わないけど)見ててくれるんだなって」
娘さんは大きくなり、今はもう働いているそうですが、お母さんは「その時がなかったら、今もなかったかなと思ってます」。

 「一杯のかけそば」に似ていますが、お客が気づかないようにこっそり増量してあげたという話ではなく、さりげなくストレートな暖かさです。
お店の人は、このお母さんががんばっている姿と娘さんが成長していく様子を、長い間そっと見守っていたのでしょう。

*****

 わずか30分の番組にもかかわらず、今回はこのように、人生における生きざまや家族への愛情、お店の方の人情が伝わってくるシーンがたくさんありました。
このお店は何十年も地元の人たちに寄り添い、おいしい料理だけでなく心の暖かさも提供してきたことが分かります。

 この番組のテーマソングに「暖かい場所へ行こうよ」というフレーズがありますが、このお店もそのひとつではないでしょうか。

 都会で高いテナント料や人件費を払って商売しているお店だと、こんな風にはできずにビジネスライクな部分もあるでしょう。
中にはこういうお店もありますが、やはり店主の高齢化で、地元に愛されてきた町中華などの古いお店がどんどん廃業しています。
あと何十年も先まで続くとは思えません。

 だからこそ、「ああ、いい番組だった」「たくさん泣けた」と思うのと同時に、このようにお店の様子が映像で残されることの意義は大きいと感じます。
いつか「昔はこんな感じのいいお店があったんだよ」ということになるのかも知れません。


 当舎の自分史動画や終活で作成する動画も、人生での生きざまや家族への愛情、大切なことを映像で残すという視点は同じです。

どなたにもその方だけのストーリーがあります。

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