牧之原の幼稚園の事件は大人なら誰でも注意すべきことを理事長ができなかったのが原因
※写真はイメージで、本文とは関係ありません
自分史動画の意義のひとつは、自身の世代から子ども世代へ世代交代するための「映像による伝言」とも言えます。
いずれはバトンタッチがしっかりと行えるように、子どもが独り立ちできるまでは保護し、危険から守ることが大人の責任です。
それが不注意のせいで守れないというのは痛恨の事態です。
3才の幼稚園児が通園バスに取り残されて熱中症で亡くなったというこの事件。
バス送迎や通園状況把握についての手順など園の運営上の問題がクローズアップされています。
これらはもちろん許されないことですが、私はそれだけでなくそれ以前の問題として、幼児に接する大人なら個人の立場でも本来気をつけるべきことが理事長にはできていなかったと思うのです。
園の関係者はこの日もそれぞれ前日までと同じように行動していたのでしょう。
業務マニュアルやリスク対策が何もない杜撰な状態だったのに、それでも前日までは運よく運営を続けてこられました。
しかし、危うく保たれていた安全は、この日バスの運転手が普段の人でなく理事長に変わったことで崩壊しました。
理事長は「バスの運転はほとんどしておらず不慣れだった」と言っているそうですが、それが問題なのではなく、運転手役が不慣れであっても、誰でも気をつけるべき常識レベルの注意を怠ったのが問題です。
バスには理事長ともうひとり、70代の派遣職員が乗っていたといいます。
幼児を乗せたバスに同乗している大人が降車時に気をつけるべきことは何でしょうか。
常識レベルで考えれば、ひとつは幼児が降りるときに転んだりしないよう、乗降口に立ってサポートすること、もうひとつは全員が降りたか、忘れ物がないかや嘔吐などで汚れていないかの確認を含めて座席をチェックすることだと思います。
その2つを2人で手分けするのが当たり前でしょう。
それさえしていれば、他の職員も気づけなかったという杜撰な体制であっても、この子の命は救えました。(もちろん園の体制も放置はできません)
数年前までこの園で運転手をしていた人への取材記事によると、当時は運転手が見て回っていたとのこと。
おそらく今の運転手も普段はそうやって安全確認してきたと思われます。
だとすれば、派遣職員のほうは毎日、乗降口で園児を降ろしてあげたり園の建物まで同行していたのでしょうから、理事長はその派遣職員の動きを見て、自分が座席を見て回るべきと気づく必要がありました。
この子はバスが園に着いてお友達が降りても一緒に降りなかったのですから、座席で寝ていたか倒れていた可能性もあります。
横になっていたら背もたれより低くて見えません。
そうした推測も必要ですし、バスのドアを閉めて立ち去る前にひととおり座席を見て回るのが大人の役割です。
理事長は会見で「自分は理事長という立場なので、他のことと同様に "あとは頼む" という意識だった」というような趣旨の発言をしており、”自分が悪いのではなく、周りの職員があとをちゃんと見てくれなかった” とでも言いたいようです。
その意識も大きく間違っています。
理事長という身分に関係なく、自身がひとりの大人として常識レベルの責任を果たせなかったということです。
理事長を辞めても個人としてのこの責任は無くなりません。
これは乳幼児と接するすべての大人が負っている責任と同じ種類の話ですので、私たちも気をつけたいです。
子育てをした大人ならいろんなことに注意を払うべきだと知っているはずで、子どもの行動は大人と違うので、家の中でさえあちこち危険があることに気づかされます。
そうして事故が起こらないようにいろんな手を打っていくものでしょう。
私たちがこうした痛ましいニュースを見てできることは、自分が小さい子どもや孫などと接するときにはどこにどんな危険やリスクがあるかを想像して想像して、不幸な事故が起こらないよう最大限気をつけることですよね。
子ども達を守り続けるのは本当に大変ですが、こうした事件や事故が少しでも減ることを願ってやみません。
自分史動画を制作している者としては、一人ひとりが良い人生であってほしいですし(宗教じみて聞こえるかも知れませんが、私は宗教との関わりは一切ありません)、幸せが奪われるようなことがあってはならないと普段から思っています。
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吉川 友清
一分一厘舎代表。
映像作家、終活ライフケアプランナー・防災士・援農ボランティア。
2021年3月より自分史動画・終活動画制作専門の「My History Video」サービスを提供中。
制作・撮影・編集ほか、事業全般を担当している。