足腰を街道歩きで鍛えて健康維持 第2回:東海道

皆さまのご健康とご長寿を願って、「足腰を街道歩きで鍛えて健康維持」の第2回、東海道です。
関東から日帰りで行ける区間について、全体的なことを書きたいと思います。
個々の見どころについての解説は各書籍の記載が圧倒的に詳しいですし、東海道の本は街道本の中で最もたくさん出ていますので、そちらをご覧ください。
ただし、本によっては歩行地図が大雑把で、どの道が歩くべき道なのか判別できない箇所があったりしますので、購入前に中身をご確認ください。
どれか一冊お薦めするとすれば、歩行地図の正確さや見どころ解説の詳しさの点で、私は書籍「ちゃんと歩ける東海道五十三次」(八木牧夫 著)が一番良いと思います。
私にとって東海道は最初に歩いた街道で、街道歩きの経験も知識もない状態で日本橋から歩き始めました。
靴は普段履いていた合成皮革のスニーカー(アディダス)です。
昔の人は最初の宿を神奈川宿にすることが多かったと何かの本で読んだので、それに倣って日本橋から神奈川宿まで27.5kmを歩くことにしました。
第1回:準備編の「1.靴の選定は最重要」で書きました「スニーカーや普通の運動靴で問題なく歩けるのは10kmくらいまで」という私なりの基準は、実はこの最初の区間で痛い思いをしてできたものです。
日本橋から銀座のど真ん中、中央通りを品川方面へ歩き始めます。
平日はサラリーマンが多くて、リュックに帽子のハイキング姿で歩くのは気が引けますが、土日の朝早くに日本橋を出立すればガランとしていて気持ちよく歩けます。
東京都心は江戸時代関連の見どころが特に多いので、例えば泉岳寺など境内をじっくり見ながら歩くと、思ったよりも時間が掛かります。歩行計画は余裕を持って組んでください。
鈴ヶ森刑場跡(約11km付近)を過ぎたあたりから足が痛くなり始め、多摩川の六郷橋を渡って川崎宿へ着く頃には既に両足の裏にマメができて、ふくらはぎ、太もも、足の付け根など、左右で異なる部位があちこち痛くなっていました。
川崎宿でやめようかとも思ったのですが、それでも初志貫徹で神奈川宿まで歩いた結果、家に帰ってから見ると両足の親指の付け根あたりに500円玉くらいの大きな水ぶくれができていて、皮を破いて切り取るしかありませんでした。
その他のいろんな痛みもしばらく続き、これは「疲労」ではなく「怪我」だと思いました。
こうして、初回でいきなり靴の問題を思い知らされた次第です。
その後はランニングシューズを入手し、一日の歩行距離も15~20kmくらいにすることにしました。
神奈川宿から小田原宿までは数回掛かり、JR東海道本線沿線で湘南の市街地を歩きます。立ち止まって見るものもそれほど多くなく、比較的黙々と歩く感じです。
小田原宿から箱根湯本までは小田急・箱根登山鉄道沿線で、山あいに入っていきます。
その先は山越えです。箱根湯本を始点とし、三枚橋を通ってしばらく歩くと山道に入ります。珍しい石畳の山道を踏みしめたり畑宿の寄木細工店などを見ながら「東坂」を越え、箱根宿を終点とするのが体力的にも時間的にもいっぱいでしょう。
元箱根のバスターミナルから箱根湯本や小田原まで出て帰宅となります。
日本橋から箱根宿までは、ガイドが引き連れている団体さん、少人数のグループ、一人歩きの方など、歩いている人をたくさん見かけます。
箱根駅伝のイメージがあるからか、箱根までを東海道歩きの区切りとしている人が多いんでしょうね。
日帰りで行ける区間はもう少し先まであります。
箱根宿から今度は「西坂」を上って三嶋宿までの山越えコースです。
上の写真は「西坂」の途中で見えた富士山で、素晴らしい眺めが楽しめます。
この区間も多少歩いている人を見かけます。
山を下りたところに三嶋大社があり、参拝しつつ休憩できます。
三島駅まで散策しながら歩き、新幹線を使って帰宅です。
箱根までをひと区切りとお考えの方も、ぜひ「西坂」まで歩いていただければと思います。
三嶋宿からさらに、しばらく先まで日帰りで行けます。沼津宿・原宿・吉原宿・蒲原宿・由井宿・・・と続きます。
どこまで日帰りで行けるかは、お住まいの地域からのアクセスのしやすさによって変わるかと思います。
車で東名高速を使えばかなり先まで行ける方もおられると思いますが、運転にはくれぐれもご注意ください。
私は吉原宿で初めて宿泊し、そこから先は1泊2日か2泊3日で最後の三条大橋まで歩きました。
三嶋宿から先は、同じように東海道を歩いている人はめっきりと減っていきます。
見どころは所々にあるのですが、それを目当てに歩くというよりは、歩くこと自体が楽しい方が続けておられるのかも知れません。
静岡県内はかなり長い行程で、海の近くを歩く区間がたくさんあります。
愛知県に入る直前で内陸側へ折れ曲がり、そこに「汐見坂」があります。
西から東へ歩く人にとっては初めて太平洋が見えるのが汐見坂で、感動的な場所ということですが、東から西へ歩く私にとっては、逆に寂しく感じた地点でした。
そういう点でも「東海道」という名前は静岡あってのものという印象で、長かったけどとても楽しかったという記憶があります。
自分史動画に街道歩きの様子を入れるのもいいと思いませんか。ご希望の際は、可能な限り同行撮影させていただきます。
第3回は甲州街道の予定です。
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私にとって自分史動画の制作は街道歩きと共通する部分があります。旧街道の魅力は古いものが残っているところです。いったん無くなってしまうと二度と復元できないものを後世へ残していくことは大事です。人が生きてきた中でのいろんな思いや人生の歩みを記録して残すことも同じように大事なことだと思います。
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