街道歩きと自分史ビデオ 

旧東海道・関宿

 前回の記事では自分の子どもの頃にあった風景を無意識にさがしているという一種のノスタルジーについて書きましたが、今回はもっと古い時代の風景について書きたいと思います。

 旧東海道を日本橋から三条大橋まで全部歩いて街道歩きの楽しさを知り、その後は関東・甲信から福島あたりまでの主な旧街道を日帰りの継ぎ打ちで行ける範囲で順次歩いてきました。

 いろんな人から「どこが楽しいのですか?」と聞かれます。

 「どんな遠くの場所へでも歩いて行けるという喜び」「コツコツと歩き重ねてゴールにたどり着いたときの達成感」「足腰を鍛えることによる健康増進」というようなことは、すぐに思いつきます。
でも「なぜ旧街道なのか」はこれらでは説明できません。

 そこでもう少し詳しく、「楽しい部分」と「楽しくない部分」に分けて考えてみると、旧街道に感じている魅力が見えてきました。

 楽しい部分は、「今の幹線道路とは別に残っている昔のうねうね道」「昔と同じように道端にある道標、地蔵塔、庚申塚、馬頭観音、秋葉灯など」「案内看板を立てるなど歴史遺産の保存活動をしている地域」「昔から街道に向いて建っている神社やお寺」「昔から街道沿いで営業している古い酒蔵、和菓子店、麹屋など」。

 楽しくない部分は、「拡幅され幹線道路化した区間(日光・奥州街道で国道4号線と重複する長い区間など)」「宅地化により旧道が消滅した区間(時代が古すぎる鎌倉街道など)」「大都市で人が多いところ(大山街道の渋谷・宮益坂~道玄坂など)」「ただ山の中を歩く区間(甲州街道の小仏峠・笹子峠など)」。
要するに、古いものが残っているところが好きなんですね。

 上の写真は旧東海道の亀山市・関宿です。
街並みの保存活動を40年以上行っていて、建物の修復・保存や電柱の移設・電話線の埋設までして昔の景観を残しています。正面奥に構える「地蔵院」もこの風情に花を添える素晴らしい位置関係です。
こういう場所はもう数えるほどしか残っておらず、国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されており、すごく貴重です。

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 地域が発展してより便利に快適になるのは大変良いことですが、それとは別の視点で、いったん無くなってしまうとそれっきり、二度と復元できないものを保存して後世へ残していくことも大事なことと思います。
そういったことに関心を持つようになったのは50代以降です。
若い頃は自分のこと、目先のことに精いっぱいで、考えもしませんでした。不思議なものです。
今は、過去から未来へ連綿と続く「世代のリレー」に自分も参加しているという意識があります。

そういう意味では、残したいものは街道や建物など有形のものに限らず、私にとっては、人が生きてきた中でのいろんな思いや人生の歩みを記録して残すことにも全く同じように関心があります。
ですので、自分史ビデオの制作も、街道歩きと共通する思いで取り組んでいます。
  

 

当舎は自分史ビデオと自分史ムービー・自分史動画、終活ビデオと終活ムービー・終活動画を同じ意味で考えております。