最近のエアコンは10年で壊れるのでしょうか

家のエアコンが10年で壊れて買い替えとなりました。エアコンの分野では日本を代表するだけでなく、世界でも名高いトップメーカーのものです。写真のとおり室内機の見た目はまだ十分新しいですが・・・。(メーカー名のロゴは消してあります)
他の部屋にあるもっと古いエアコンがいまも現役で活躍しているのに、10年しか持たないというのはかなりガッカリです。6畳用で安めのものでも諸費用を含めると10万円前後の出費ですので、本当に困ります。
修理に来てもらったとき、サービスマンは「どこかから冷媒が少しずつ漏れ出していますが、場所の特定はすぐにはできません。修理するとなると新品購入と同じくらいの修理代がかかります」と説明しました。基板やパーツの簡単な交換等では済まない、やっかいな壊れ方をしたようです。
昔から電気製品はメーカーによって得意不得意はありました。昭和の時代でも「●●(メーカー名)タイマー」と揶揄されたように、保証期間が過ぎたとたんに、そのメーカーの製品はまるでタイマーが組み込まれているかのように見事に壊れることもありました。
しかしそれでも全体的には日本のメーカーの品質は高く、信頼を完全に失うことはありませんでした。
壊れにくい形状や機構など設計上のノウハウ、十分な強度が確保できる材料の選定ノウハウ、耐久性試験の結果など、メーカーが蓄積してきた品質上の知見をエンジニアが共有し、それに沿って開発することで高品質を保ってきたはずです。
ところがいつ頃からか、簡単に壊れてしまうことが増えてきました。
私は一時期メーカーで働いていたこともあるので、その事情については少し見聞きしてきた部分もあります。
業界やメーカーごとに状況はさまざまかと思いますが、私がよく聞いたのは、CADで簡単に図面が描けるようになり深く考えずに間違った設計をしてしまうこと、成果主義が導入されてエンジニアが自分を守ることに精一杯となり知見を共有しなくなったこと、人材不足で上司が部下を教育する余力もなくなったこと、良い人材が入社しなくなってエンジニアの質が低下したこと、VE(バリューエンジニアリング)が進んでコストダウン優先となり品質を犠牲にしていること等でした。
しかし最近はそれらに加えて、「もしかしたら敢えて一定期間で壊れるように作り、買い替えてもらうことで収益を確保するという戦略なのでは?」と疑いたくなるほど品質が悪くなっています。
今回壊れたエアコンの買い替えではそれと同じメーカーを選ぶ気にはなれませんので、別のメーカーのものを買いました。
信頼を失うような製品を販売すると、結局メーカーが自らの首を絞めることになります。
日本のメーカーは次々と新しい機能を追加して価格を引き上げてきましたが、消費者が求めていない不要な機能も多くて「過剰品質」と言われ、とくに海外を中心に不興を買いました。そこへ韓国や中国のメーカーが参入して、ほどほどの機能で安い製品が世界市場を席捲しました。近年はそれらの品質もかなり良くなっています。
エアコンもいずれそうなるのでしょうか。
未来により良い社会を残してほしいし、私も残したいと願っているのですが、このままでは本当に日本のモノづくりの将来が心配です。