終活世代の言葉のスパイス(2)「虹を見たければ雨も我慢しなくては」
終活世代の言葉のスパイス 第2回です。
終活を始める年令に決まりはありませんが、定年後から80歳過ぎくらいまでのお歳をあえて終活世代と呼ぶなら、その皆さまの暮らしの中でひとつのスパイスになるような言葉を見つけてご紹介してまいります。
「終活世代の言葉のスパイス」第2回の言葉
「虹を見たければ雨も我慢しなくては」
If you want the rainbow, you gotta put up with the rain. (ドリー・パートン)
若い世代にひとつの大事な人生観を伝えるということ
ドリー・パートン(1946~)はカントリーミュージックの大御所で、映画「9 to 5」などに出演した女優でもあります。
主に1970-80年代ごろ活躍し、とくに50-60代以上の方などはご存知の方も多いでしょう。
アメリカでは彼女の人気とともに、この言葉も有名だそうです。
日本にもこれと似たような言葉はたくさんありますね。
「禍福は糾(あざな)える縄の如し」「人生七転び八起き」「明けない夜は無い」「冬来りなば春遠からじ」・・・。
長年生きてきた世代の方は「そんな言葉は昔から知っている」「子どもや若い人向けの言葉では?」というところでしょうか。
2022年1月15日、大学入学共通テストの東大会場で高校生による刺傷事件がありました。
事件を起こした学生は名門進学校の2年生だそうですが、東大医学部を目指していたものの最近は成績が上がらず、人生に絶望感を感じていたとのこと。
大人世代から見れば、それで絶望するのはいくらなんでも早すぎますよね。
彼もこれらの言葉は当然知っていたと思いますが、深く理解していたとは思えません。その言い回しを単に知識として知っていただけでしょう。
言葉自体はあまりにも一般的で、ある意味薄っぺらくさえあります。実話や実体験を伴うことによって初めて深く理解できることではないでしょうか。
そういう点では、彼のまわりにいる大人たちも、自分の人生経験を生かして別の見方を示してあげられなかったのだろうと思います。
年長者の世代が若い世代に接するときに、ひとつの大事な人生観を伝えるために何を話せば良いのだろうかと考えさせられました。それはおそらく、年長者が経験してきた「生の話」だと思うのです。
言葉を知識として教えるのではなく、その意味合いを腹に落ちるまで伝えることだと思います。
自分史動画・終活の動画も、ご自身が大切にしてきた考えを実話を通して次の世代へ伝えられる道具でもあります。
私自身もそれなりに歳を重ねてきて、「次の世代に自分は何を残すことができるだろうか」と考えるようになりました。ですので、自分史動画・終活の動画に対してもそういう気持ちで携わっています。
「好きなように生きて、勝手に死んでいく」だけでは、ひとつの世代の人間としてどうなのだろうかと思うのですが、いかがでしょうか。
残念なことに、彼はこれまで上の世代から大事なものを得られなかったかも知れません。しかし今回の自分自身による犯罪を通して、今後大事なものを自力でつかめる可能性も得ました。
彼が医師になりたいと思っているのなら、(医師法の定めでなれるかどうか分かりませんが)謝罪し処分を受けた後でたとえ何年遅れても、東大卒かどうかに関わらず医師となって、こんどは人の病気を治すことに精いっぱい貢献してほしいです。医師を諦めたとしても、別の分野で多くの人の役に立ってほしいと思います。
それができたら、彼もこれらの言葉を自分自身の実感として腹の中に納め、下の世代にも伝えていける大人になるのではないでしょうか。
「禍福は糾える縄の如し」、「虹を見たければ雨も我慢しなくては」です。
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吉川 友清
一分一厘舎代表。
映像作家、終活ライフケアプランナー・防災士・援農ボランティア。
2021年3月より自分史動画・終活動画制作専門の「My History Video」サービスを提供中。
制作・撮影・編集ほか、事業全般を担当している。