足腰を街道歩きで鍛えて健康維持 第5回:奥州街道 

白河城

 皆さまのご健康とご長寿を願って、「足腰を街道歩きで鍛える」の第5回、奥州街道です。

 奥州街道は松前を経て函館まで続くそうですが、五街道としての奥州街道は江戸幕府が直轄していた白河までの区間とされています。
日本橋から途中の宇都宮まで107kmは日光街道と重複していて、宇都宮から白河までは84kmです。
ここではこの84kmの区間について書きますので、宇都宮までの区間については当ブログの「第4回:日光街道」をご覧ください
解説本は第4回でご紹介したのと同じ「ちゃんと歩ける日光街道・奥州街道」(八木牧夫 著)をお薦めします。
この本は街道が2つも載っていてお得ですね。

 宇都宮で日光街道との追分を直進し、宇都宮駅の手前で左に折れて郊外へ向かいます。
この先、大きな都市はなく田園風景や小さな街並みだけの素朴な景色が続きます。
私は田舎の風景が大好きなので、ずっと気持ちよく歩きました。
 
 大きな見どころは途中にあまりないのですが、大田原周辺まで行くと街なかの看板に「与一のふるさと」、お土産物に「与一○○」など、いろんなところで「那須与一」の名前を見かけます。
屋島の戦いで平家方が船の上で日の丸の扇を棒の先につけて挑発したのに対し、義経の命で見事射抜いたのが弓の名人・那須与一、というお話は皆さんご存知でしょう。
地元でもらったパンフレットには事の次第が書かれていて、波で船が揺られ、扇も上下するので射抜くのはかなり困難な状況で、与一は義経に対して辞退を申し出たとのこと。
すると義経が激怒したため、やらざるを得なかったらしいです。
あとで平家物語を見たら、やはりそう書いてありました。
成功したからこそ800年以上経った今もなお観光資源になっている訳ですが、もし矢を外したら源氏方の恥さらしとなるので自害を覚悟していたそうです。
ただのヒーローではなく、義経に無茶振りされた与一を少し気の毒に思いました。

 話は早くも街道の終点に飛びますが、なんといっても深い印象を残したのは白河でした。
上の写真は幕領白河藩の白河城(白河小峰城)です。
戊辰戦争の激戦地となった白河には、戦さに参加した佐幕側の奥羽越列藩同盟軍と新政府軍、双方の各藩が街のあちこちに石碑やお墓などを建てていてすさまじいです。
白河口の戦いについては新選組・斎藤 一が主人公のシビレる名作小説、浅田次郎「一刀斎夢録」で少し知っていましたが、多くの遺跡を通して、この戦さの激しさと関わった各地の武士が抱いた強烈な思いが伝わってくるようでした。

奥州街道終点の追分

 そしてすごく意外だったのがこの街道の終点である追分です。
ここは奥州街道が幕府管轄から外れた先の仙台道と会津若松へ向かう会津道の分岐点です。右が奥州街道の続き・仙台道で、左が会津道になります。
普通だとこういう場所には石造りの道標があって、各方向の道案内が刻まれているものです。
また、幕府の管轄はここまで、と分かるものがあってもいいはずです。
ところがそういうものが一切残っておらず、写真のとおりどこにでもあるただのY字路にしか見えません。
新政府が幕府の痕跡を消すために撤去したんでしょうか。
一段高いところに、仙台藩が建立した慰霊碑が追分を見下ろすように建っています(写真左にある石造りのもの)。白河で仙台にいちばん近い場所に建てたんですね。
 
 白河といえばラーメン。市街地で食べた白河ラーメンは確かに旨かったです。
しかしそれよりも、新白河駅の駅そば「麺処 新白河」で食べたそばのほうが記憶に残っています。
麺をあえて乱切りしているのか、「まさか、手打ち?」と思うほど幅がまちまちで、その無造作な感じも含めてすごく美味しかったです。
街道歩きの日は早朝に家を出るので、毎回、各地の駅そばで朝食にそばを食べるのを楽しみとしていますが、それらの中でここのそばは最も記憶に残っています。
この店には白河ラーメンもあるのでラーメンを注文する人が多いかも知れませんが、機会があればぜひ、そばを食べてみてください。

 奥州街道の宇都宮以北は見どころが少ない素朴な田舎道ですが、この地味さによって、歩くこと自体を楽しめるという良さもあります。
そして最後の白河には強烈なインパクトがあります。
首都圏からは、新幹線を利用すれば終点まで全区間日帰りで可能です。
日光街道と合わせて歩いてみては如何でしょうか。


 自分史動画や終活の動画に街道歩きの様子を入れるのもいいと思いませんか。ご希望の際は、可能な限り同行撮影させていただきます。


 第6回は水戸街道の予定です。
     

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