終活世代の健康趣味・街道歩き 第12回:川崎街道・府中街道(1) 

川崎街道・日野宿本陣正門

 終活を始める年令に決まりはありませんが、定年後から80歳過ぎくらいまでのお歳でまだまだ元気な方々をあえて終活世代と呼ぶなら、その皆さまの健康維持に最適な趣味のひとつが街道歩きではないかと思います。
街道歩きは一人でもふらっと日帰りのお出かけができて、電車賃程度の出費で済み、まとまった距離を歩いて足腰を鍛えられ、単発ではなく何回かの連続企画となる、まさに最強の趣味ではないでしょうか。
関東・甲信で日帰り可能な範囲の街道歩き情報をお届けするこのシリーズの第12回は川崎街道・府中街道(1)です。

 暖かくなってきたので、このごろはリュックを背負って一人でウォーキングしている方を男女を問わずよく見かけます。
足腰を丈夫にしておくのも大切ですが、暗いニュースが続く日々、気分を少し変えるためにも、手軽なコースでちょっと歩いてみませんか。
マイナーな街道も含めて、お住まいの近くにも街道がいくつかあるのではないかと思います。

 私は街道歩きを冬の間お休みしていたので、体が鈍っていて足腰も弱ってきているはずです。
編集作業の合間を縫って半日くらい時間がとれた日に、軽めに行けるコースを見つけて歩き始めました。
1時間で4km歩くのが一般的な速度ですので、3時間あれば12kmくらい歩ける計算です。
朝、遅くならないように家を出ると、往復の移動時間も含めてお昼前後には終わります。午後からは別のことができますね。

 今回選んだのは「川崎街道・府中街道」。甲州街道の日野宿と東海道の川崎宿を稲城市内で結ぶ2つの街道です。
これに「大師道」(川崎宿~川崎大師)を加えた約40kmを4回くらいに分けて歩こうと思います。
そして最終日を川崎大師のご縁日である21日に設定し、ゴール後にお参りしてご縁日も楽しもうという計画です。
旧道の歩行地図は検索しても見つからなかったので、現在の道で行きます。

 川崎街道は、現在、都道として東京都が管理している区間は日野から稲城市大丸を経て稲城市矢野口にある川崎市との都県境までで、この街道名を通称道路名として定めています。終点を川崎宿としている資料もありますが、定説とは言えなさそうですので、ここでは矢野口までとしておきます。
 府中街道は、川崎から大丸の追分を経て府中へ至る街道を指しています。武蔵国の国府であった府中へ向かう道として、平安時代までには既に幹線道路となっていたようです。
つまり、大丸~矢野口間は川崎街道と府中街道が重複していることになります。なお、今回は大丸~府中間は歩きません。

 終点を川崎宿とする説の場合、歴史的に日野と川崎を結ぶ道の役割はどんなところにあったのか。
ネットで調べてみても「なるほど」という説明がなかなか出てきません。

甲州街道と川崎街道の追分「川崎街道入口交差点」のすぐそばにある日野宿交流館に立ち寄って尋ねてみました。
ここは甲州街道を歩いた時に来ています。甲州街道や日野宿の観光案内所で、新選組のシンボルである「あさぎ色のだんだら模様」の各種お土産も売っています。
案内人の方は甲州街道についてはお詳しいものの、川崎街道のことはあまり分からないそうです。
あれこれ推測し合った結果、高幡不動への参道という意義くらいだろうかという結論でした。
ただ、東海道と甲州街道を多摩川西岸でつなぐ連絡道路としても利用されたと思われます。

 さて、交流館のほぼ向かいにある日野宿本陣(上の写真)へ行き、そこからスタートしました。
江戸時代に建てられた本陣の建物で現存するのは東京都内でここだけだそうです。
1kmほど歩いて日野バイパスを横切ります。西へ目を向けると角上魚類の看板が見えます。鮮魚がすごく充実しているので、車で時々買いに来ます。何か買いたいところですが、生魚を持ち歩く訳にもいかないので、残念ですが通り過ぎます。
北野街道と接続する高幡橋南交差点を左折します。西側に目をやるとレンタルビデオ店の大きな看板が見えますが、その裏手には唐揚げ弁当が人気の弁当屋「茶実」があります。噂を聞きつけて車で買いに来たことがあるのですが、昼食には早すぎる時間だったのでやむなく通り過ぎます。

 スタート地点から2kmで、早くも高幡不動に着きました。この街道で随一の名所です。
関東三大不動のひとつで、正式名称は高幡山明王院金剛寺だそうです。
ここへは何度か来たことがあるので、今回は旅の安全を祈願してお参りするだけにしました。
門前には土産物屋も多いですし、地元の英雄・土方歳三や新選組関係の見どころもあるので、時間をかけて見て回るのも楽しいです。

高幡不動

 百草園・聖蹟桜ヶ丘と、京王線に沿って進みます。
鎌倉街道と交差する新大栗橋交差点を越えると、長い長い登り坂になります。
多摩川と並行する街道なので基本的には平坦な地形で、しかも下り坂なのですが、ここだけは山越えする区間です。
桜ヶ丘カントリークラブの正門がある連光寺坂上交差点でようやく登り切り、そこからは一転、長い長い下り坂が続きます。
新大丸交差点の手前で平坦になり、そのすぐ先の大丸交差点が府中街道との追分です。
JR南武線・南多摩駅も近くて良い区切りなので、ここで1日目を終了しました。

 初日の歩行距離は11kmと短めでしたが、久しぶりの街道歩きなので足裏の皮膚も薄くなっていたのでしょうか、この距離でも足の裏がヒリヒリし始めていて、これくらいで良かったと思います。
このシリーズの第1回:準備編でも書いたとおり、このサインが出たらすぐに休憩して靴を脱ぎ、足裏の熱を冷ましたり汗を乾かさないと、私の場合は水ぶくれのマメができてしまうのです。

 次回は大丸から東急田園都市線・高津駅までの13kmを目標に歩こうと思います。

 自分史動画や終活で作成する動画に街道歩きの様子を入れるのもいいと思いませんか。ご希望の際は、可能な限り同行撮影させていただきます。

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私にとって自分史動画の制作は街道歩きと共通する部分があります。旧街道の魅力は古いものが残っているところです。いったん無くなってしまうと二度と復元できないものを後世へ残していくことは大事です。人が生きてきた中でのいろんな思いや人生の歩みを記録して残すことも同じように大事なことだと思います。

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終活世代の健康趣味・街道歩き 第13回:川崎街道・府中街道(2)

「終活世代の健康趣味・街道歩き」の第13回、川崎街道・府中街道(2)です。稲城市大丸の追分から歩行を再開し、稲田堤・中野島・登戸/向ヶ丘遊園・久地と進んで、東急田園都市線・高津駅の手前、大山街道と交差する高津交差点まで歩きます。

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一分一厘舎代表。
映像作家、終活ライフケアプランナー・防災士・援農ボランティア。
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制作・撮影・編集ほか、事業全般を担当している。