「終活はその先の人生を楽しむため」~変化する終活への意識
当舎は「自分史動画」とともに終活の一環である「終活で作る動画」も制作していますが、この「終活」に対する人々の意識が最近変わりつつあるようです。どう変わってきたのか、その中身をご紹介します。
終活という言葉は、2009年に週刊朝日が連載した記事「現代終活事情」で作られた造語です。
2012年の新語・流行語大賞でトップテンに選出され、2017年頃からは「終活年賀状」(今年限りでやめるというお知らせ入りの年賀状)も話題になっています。
この言葉は今や世代を問わず認知されていて、楽天インサイトの調査によると「終活をする意向が(将来を含め)あるかどうか」という質問に「はい」と答えた人は、なんと30代が最も多くて46.0%、20代も37.6%という高さです。世代合計では「はい」が40.3%、「いいえ」が14.7%、「分からない」が45.0%となっています。
また「終活を始めたい年令」は、60代とする回答が世代合計で41.7%、70代が23.6%、50代が12.4%の順に多く、80代以上で始めたいと答えたのは意外にも3.2%で6番目だそうです。(以上、楽天インサイト「終活に関する調査」2019年)
終活で行う主な内容は、一般的に金融口座・金融商品の整理、家の中の断捨離、写真・手紙の整理、エンディングノートの作成、携帯電話やインターネットなど登録・加入サービスの情報整理、加入保険の整理、PCのデータ整理、遺書・遺言書や遺産分与の作成、葬儀の準備、形見・遺品の整理、大切な人へのメッセージ作成、お墓の準備などです。
しかし、ここ数年の間に「したかったことをしておく」という回答が急増してきています(ハルメク 生きかた上手研究所「終活に関する意識調査」2021年)。
終活を行う理由は、「家族に迷惑をかけたくないから」「寝たきりになった場合に備えて」「人生の終わり方は自分で決めたいから」「葬儀などの希望を家族に伝えるため」「人生を棚卸整理したいから」という順に多いのですが、最近はこれに加えて「これからの人生をより良くするため」が増加しています(上記楽天インサイト調査)。
終活に対するイメージは、「亡くなったときのための準備(葬式や墓など)」が世代合計で71.7%、「人生の後半期を生き生きと過ごすための準備」が24.7%です。世代別では、「人生の後半期を生き生きと過ごすための準備」と答えた人が50代は25.3%で約4分の1、60代以上は34.8%で3分の1以上と多くなっています(NPO法人 ら・し・さ「終活意識全国調査」2021年)。
これらのデータから、終活という言葉の認知度が高まるにつれて、終活の目的が「亡くなる前の準備」「人生の手じまい」といったものから「人生をいったん振り返って、整理や断捨離によって少し身軽になり、その先の人生を存分に楽しもう」という前向きなものへ変化しつつあると言えそうです。
当舎の考え方もこれらと同じです。
自分史動画や終活で作る動画は人生の最後を見定めてから作るよりも、可能であればもっと手前の時期に、普段どおりの生活を送る中で「今後ますます元気に人生をエンジョイします」というお姿を記録するほうが、よりよいものになると思います。
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吉川 友清
一分一厘舎代表。
映像作家、終活ライフケアプランナー・防災士・援農ボランティア。
2021年3月より自分史動画・終活動画制作専門の「My History Video」サービスを提供中。
制作・撮影・編集ほか、事業全般を担当している。