自分史動画のワンシーン(13) お菓子の思い出を自分史動画で語って下さい 1.量り売りのお菓子
(この記事で紹介している「お菓子の千石」は、残念ながら2022年12月末で閉店となりました。記録として残すため、取材当時の記事内容のまま掲載を続けますので、あらかじめご了承ください)
食べ物には自分だけの懐かしい思い出があったりしますよね。子どもの頃に食べていたお菓子もそう。
見ただけでもその時の記憶が鮮明によみがえる、大切な思い出のお菓子、あるいは幼き頃の黒歴史のお菓子(笑)がいくつかあるのではないでしょうか。
そうしたお菓子にまつわる遠い昔の思い出を、自分史動画や終活で作る動画のワンシーンとして語ってはいかがでしょうか。
昔のことを思い出していただけるように、今回から数回にわたり、昔から売られているお菓子を振り返ってみたいと思います。
なお、対象年齢はだいたい60才以上を想定しております(笑)。
第1回は「量り売りのお菓子」です。
先日、ギンビスのアスパラガス(発売:1968年)をスーパーで買ったところ家族のウケが良くて、あっという間に無くなってしまいました。
「このお菓子って、昔は量り売りで売ってたんだよなー」と思い出したのがきっかけで、今でもアスパラガスを量り売りで買える店があるのかどうかを調べてみたくなりました。
平置きのガラスケースで陳列している昔ながらの量り売りは、ほとんど無くなってしまいましたよね。
検索して調べた範囲では、東京都西部から神奈川県のエリアで確認できたのは小田急線本厚木駅近くの「お菓子の千石」、ただ一軒でした。
本厚木ならわりと近いので行ってまいりました。このお店は昭和29年(1954)創業だそうです。
本厚木駅の北口を出て右方向に200mほど歩くと、すぐにお店があります。
一番上の写真のように、平置きのガラスケースで陳列されています。このガラスケースを何と呼ぶのかご主人に聞いたら、「番重(ばんじゅう)」とのこと。和菓子屋やラーメン屋など食品業界で使っている蓋なしの浅い箱と同じ、番重なんですね。ただ、ここにあるのはこの店に合わせて作ってもらった特注品だそうです。部分的に補修や新調を繰り返してきたのでしょう。ガラス蓋の四隅についている装飾金具の大きさも、ところどころ少し違っていたりします。
最初に目に入ってきたお菓子が「蕎麦ぼうろ」です。私は関西出身なのですごく身近なお菓子ですが、これは全国的には『京都みやげ』かと思っていましたので、厚木にあるとは驚きました。ご主人によると「うちでは昔から扱ってますよ」とのこと。さすがです。
「どれも200g以上で売っているんだけど、蕎麦ぼうろは軽いから200gでも結構ボリュームがあって、若いお客さんも喜んで買ってますね」だそうです。確かに軽いし、価格も200g195円と安めですしね。そうか、年配者が懐かしさで買うだけではなくて、若い人もお店で「発見」して買っているのですね。
ケースの中に品名と価格を書いた札がありますが、品名の上に何やら文字のような赤いマークがあります(一番上の写真をご覧ください)。これは何かと聞いたら、ご主人のお母様かと思われるおかみさんが「上級品という意味の『上』という字です」とのこと。筆書きの時代の文化が残っている訳ですね。レトロ感が半端ないです。ちなみに、ざっと見たところ「上」は全部の商品についていたと思います。
番重に入っていたり壁に並んでいるお菓子をいくつか写真でご紹介します。
私が反応したお菓子を真ん中に写していますが、どれを懐かしく思うかは人それぞれですので、一緒に写っている他のお菓子もあわせてご覧ください。
皆さまの思い出がよみがえるものはこの中にありますでしょうか。
えび満月も昔は量り売りでした。見た目が風流でお酒のおつまみにもなるからでしょうか、うちではお正月に必ずありました(笑)。今は百円菓子でも買えますが、えびも青のりもショボいです。やはり三河屋製菓がいいですね。
芋ケンピも定番でした。素朴な昔風のお菓子です。両隣にある玉子パン(左端)や芋満月(右端)も含めて地味で、新しいお菓子に主役の座を奪われてしまいましたが、このように今も健在な姿を見せています。
元祖ボール(左端)は鶯ボール・バクダン等の呼び方もありますね。今はもう廃業してしまった製造元もあるそうですが、植垣製菓の鶯ボールは1930年発売で今も健在です。初めはポリポリと硬いのに、噛んでいるとモチモチした感じもしてくる独特の食感は唯一無二です。一粒食べると子どもの頃に戻った気分になります。
そして、探していたアスパラガス(右端)もバッチリありました。ガラスケースごしに見るのは何十年ぶりでしょうか。小さい頃、祖母と一緒に店先で見たときの記憶がよみがえりました。
鈴カステラは茶色一色のミニカステラを鈴の形に成形したものもありますが、私は写真のように2色に分かれていて砂糖をまぶしたものが懐かしいです。どのメーカーがいつ頃最初に作ったのかがよく分からないお菓子ですが、ローヤル製菓というところが少なくとも1960年代から作り続けているようです。
両隣にある甘納豆(左端)とピーせん(右端)も「ど定番」ですね。うちの母親は甘納豆が好きだったなぁ。ピーせんは、日数が経って酸化した味になるのとの闘いでした。
五家宝(左端)・若草(右端)といった食べごたえのあるお菓子も昔からありましたね。五家宝は結構高い。あまり買ってもらえなかったような記憶があります・・・。
蕎麦ぼうろは江戸時代には既にあったらしいです。京都の総本家河道屋(商品名「蕎麦ほうる」)が元祖のようですが、丸太町かわみち屋のものも京都のお土産屋でよく見かけます。梅の花の形と、小さくて丸い形のものが入っています。丸いものは梅の真ん中の穴から抜いたのだろうかと子どもの頃に思ったものです。おそらくそうだと思いますが、いまだに確認できていません(笑)。私は量り売りお菓子の中でこれが最も懐かしいです。
ご主人が「うちは全国から仕入れていて、地元から仕入れているのはこれだけなんだよね」と言ったのが、この蜂蜜おかき。右端の品川巻(200g640円)は海苔を巻いてあるのでおかきの中でも高級な部類ですが、それと同等の高価格(200g650円)です。
「お客さんの年代だと、これなんかも懐かしいのでは?」とご主人が指差したのが、この動物ヨーチ。確かに昔はこういうものがよくありましたが、名前も知らずに食べていました。
「ヨーチって何?」と思って調べたら、こういうビスケットをイギリスではkindergarten biscuitというらしく、「kindergarten=幼稚園」からヨーチと呼ぶようになったそうです(菓生堂のwebサイトより)。これ、ご存知でした?
柿の種が亀田製菓でなく浪花屋製菓なのは、このお店の矜持でしょうか。亀田製菓は後発で、昔からある柿の種はこの浪花屋のほうですね。量り売りもあります。お土産用の四角い缶入り(蓋が丸いやつ)が懐かしくて、この赤い包装を見ると、中身もさることながら缶が欲しくなります。
パインアメやバターボールといったレトロなアメも並んでいます。写真に写っていない黄金糖などもそうですが、こういう昔からのアメは今や百円ショップが販売の主戦場になっていますね。
この店には子どもがお小遣いで買うような小さいパッケージの駄菓子もたくさんあります。量り売り菓子も壁の棚にあるお菓子も、写真以外にまだまだたくさん並んでいます。
この時に買ったのは、下の写真のとおり蕎麦ぼうろ・アスパラガス・鶯ボール・甘納豆の4点、各200gです。甘納豆以外の3つは量がドッサリ。これほどの量で、合計905円でした。これは安い。良心的なご商売に頭が下がります。
「お取り寄せ発送もやってますよ。ただ、お菓子は安くても送料がね・・・」と仰るご主人。でも遠方の方は、厚木まで買いに行く交通費や手間を考えたらお取り寄せで十分かも。
こういうお菓子は小さなメーカーが多いので、廃業してもう手に入らなくなったお菓子もあるのだろうと思いますが、それでも探したかったものがこの店にほぼあったのはさすがです。
ひとつだけ見つからなくて残念だったのは、伊賀で作られている「かたやき」。忍者が保存食として持ち歩いたという、すごく硬いせんべいで、関東ではほとんど売られていないためご主人もご存知ないようでした。これはもう仕方ありません。
それでも、おかげさまでとても懐かしく、童心に戻った気分を満喫できました。いつまでも続いてほしいお店です*。
皆さまは何か懐かしいものを見つけたでしょうか。
お菓子にまつわる遠い昔の思い出を、自分史動画や終活で作る動画で語ってみませんか。
人生を振り返る中で子どもの頃の思い出話として貴重なワンシーンになることもあるかと思います。
今でも売っているお菓子なら現物を手にして撮影できますね。
次回からは、量り売りではなくパッケージ入りのお菓子を発売年別に見ていきたいと思います。
*冒頭にも書きましたとおり、2022年12月末で閉店となりました。
記載している商品価格は取材時点のものです。
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吉川 友清
一分一厘舎代表。
映像作家、終活ライフケアプランナー・防災士・援農ボランティア。
2021年3月より自分史動画・終活動画制作専門の「My History Video」サービスを提供中。
制作・撮影・編集ほか、事業全般を担当している。